台所の排水口は、蓋を外すとゴム製の菊割れ蓋がついています。菊割れ蓋の下にはゴミ受けがついており、水と一緒に流れてきた食べ物のカスなどのゴミが排水管に流れていくのを防ぐ仕組みです。
さらに、その下には排水トラップ椀や排水トラップがあります。排水トラップに一定の水(封水)が溜まっていれば、排水管からにおいが上がってくることはありません。つまり、排水トラップにきちんと水が溜まっていれば、臭いにおいは基本的に発生しない構造なのです。台所の排水口からにおいがするときは、排水トラップ椀や排水トラップのどこかに問題が発生している可能性があります。
台所の排水口の臭いにおいを解消するためには、原因を正しく把握することが大切です。ここでは、台所の排水口がにおう原因について具体的に解説します。
台所の排水口のゴミ受けには、食べ物のカスだけでなく油汚れも付着します。食べカスや油で汚れたゴミ受けを放置していると、腐敗やぬめりが生じて臭いにおいが発生します。ぬめりにより悪臭につながっている場合、雑菌も多く繁殖するので不衛生です。
台所の水周りは毎日使うので、気をつけていてもゴミ受けには少しずつ汚れが溜まっていきます。ゴミ受けからのにおいを防ぐには、できれば週1回以上は掃除をするのが理想です。
台所の排水口から嫌なにおいがする場合、排水口そのものに問題があるケースも考えられます。ここでは、排水口で起こりやすく、においの原因にもなる問題の具体例を解説します。
台所の排水口では、排水トラップ椀や排水トラップによって排水管からにおいが上がってくるのを防いでいます。排水トラップ椀は取り外せる構造なので、しっかり取り付けられていないと、下水のにおいが漏れる恐れがあります。
台所の排水口から下水のにおいがするときは、排水トラップ椀がきちんと取り付けられているか確認しましょう。
排水トラップ椀を正しく取り付けていても下水のにおいがするときは、封水がなくなっている可能性があります。封水とは、先ほど「台所の排水口の役割と構造」でも説明したように、排水トラップに溜まっている水のことです。
日常的に水を流していれば、排水された水の一定量が排水トラップに溜まります。しかし、台所を長期間使用せず水を流さなければ、封水が蒸発してなくなることがあります。
排水トラップ椀を外してみて封水がなくなっていた場合は、再び水を流して封水を溜め、その後のにおいが気にならなくなっているか確認してみましょう。
キッチンでは、食べ物のカスや油などさまざまな汚れが水と一緒に排水口へ流れていきます。そのため、排水口だけでなく、排水管にも汚れが蓄積されていると想定されます。食べ物のカスや油の汚れを放っておくと、腐敗やぬめりが生じて悪臭につながるため注意が必要です。
また、排水口や排水管に汚れが蓄積すると水の通り道が狭くなり、つまりの原因にもなってしまいます。ゴミ受けだけでなく排水口全体や排水管も、定期的に掃除してきれいに保ちましょう。
台所のシンクの下に見える排水ホースは、床下に埋め込まれている塩ビ管と接続されています。長くシンクを使用していると、排水ホースと塩ビ管の間に隙間ができて、下水のにおいが漏れるケースもあります。その場合、防臭ゴムや配管用のパテを使用して排水ホースと塩ビ管の間に隙間を塞ぎ、においが漏れないようにしましょう。
なお、マンションの場合、劣化した排水ホースや塩ビ管をそのままにしておくと水漏れが発生し、下の階に被害を拡大するリスクも伴います。不快なにおいに気がついたときは、設備をしっかり点検して早めに対処する必要があります。
台所の排水口や排水管に汚れが溜まっていると、悪臭の原因になります。この場合に悪臭を解消するためには、いくつかの対処法があります。ここでは、台所の排水口や排水管の悪臭を解決するために有効な方法を確認しておきましょう。
キッチンの排水口を掃除するには、重曹とクエン酸を一緒に使用すると効果的です。重曹はぬめり、クエン酸は水垢や洗剤の残りなどを落とす作用があります。
重曹とクエン酸の使い方は以下のとおりです。
なお、最初に重曹をかけた後にクエン酸を振りかけて掃除する方法もあります。
また、作業するときにゴム手袋をつけておけば手を汚さずに掃除を進められるので安心です。
台所の掃除をするための洗剤はいろいろありますが、排水口や排水管の掃除にはスプレータイプの台所用漂白剤を使用すると便利です。
排水トラップの封水を吸い取るのは、漂白剤が水で薄まって効果が落ちるのを防ぐためです。
水で流すだけでは汚れがきれいに落ちない場合は、使用済みの歯ブラシなどでこすり洗いしましょう。
排水管の汚れ落としには、ジョンソンの「パイプユニッシュ」などのパイプ用洗剤を使用する方法もあります。
分量や放置時間は、商品のパッケージに記載されている注書きに沿って決めましょう。長く放置しすぎると、落ちた汚れが再び固まってつまりの原因になる恐れもあります。
排水管の内部に汚れが溜まっているときは、ワイヤーブラシが効果的です。ワイヤーの先端につけられたブラシで、排水管の奥まで掃除できます。
ワイヤーブラシには、SANEI「パイプクリーナー(ワイヤーブラシ)5m」やFelimoa「回転式 パイプ クリーナー(ワイヤーブラシ)5m」などがあります。排水管の状態にあわせて、長さや太さなどに適したワイヤーブラシを選びましょう。
ワイヤーブラシを抜き出した際は、取れた汚れをまた排水管に流さないよう注意しましょう。
なお、油が固まってつまっている場合は、ワイヤーブラシでも対処できないかもしれません。こちらの記事参考にしながら排水口の掃除を進めてください。
シンクの下の排水ホースや塩ビ管に問題が生じている場合は、応急処置を行えば悪臭を抑えられるかもしれません。防臭ゴムや配水管用のパテを用意し、隙間を埋めましょう。配管用のパテとしてはセメダインの「不乾性充てん材 すきまパテ」などがあります。
ただし、この方法はあくまでも応急処置です。
排水ホースや塩ビ管をはじめとする設備そのものに不具合が生じているときは、根本的な修理が必要です。水周りの設備の修理には専門的な技術や知識が必要になり、自分では対処できないケースも珍しくありません。応急処置を終えた後は業者に相談して適切に修理してもらいましょう。
排水口の臭くて不快なにおいは、日常的な心掛けで防ぐことができます。次に説明する方法を日頃から意識しておくと、洗剤や道具を使った掃除の手間も減らせるかもしれないので、ぜひ取り入れてみてください。
台所の排水口には、油や食材のカスをなるべく流さないようにしましょう。油や食材のカスが排水口へ流れると汚れが蓄積され、腐敗やぬめりとなり、臭いにおいを誘発します。
たとえばフライパンを片付ける際は、残った油やカスをキッチンペーパーなどで拭き取ってから洗いましょう。調理で出た野菜の切れ端や食べ残しも三角コーナーに捨てるなどして、できる限り排水口へ流さないように気をつけて処分してください。
台所で水周りの作業が終わったら、排水口にアルコール除菌スプレーをかけておきましょう。
たとえばジョンソン株式会社の「カビキラー アルコール除菌 キッチン用」などがおすすめです。除菌スプレーに含まれるアルコールが雑菌の繁殖を抑えるので、悪臭の予防になります。ゴミ受けのゴミや排水口の汚れを取り除いてから除菌スプレーを使えばより高い効果を期待できるでしょう。
なお、クエン酸と水を混ぜたスプレーを使用しても、抗菌作用により臭いにおいを防げます。
雑菌は熱に弱い性質があるので、排水口に50度程度のお湯を流すと、臭いにおいの原因となる雑菌が繁殖しにくくなります。ただし、お湯の温度が熱すぎると排水管がダメージを受けるリスクがあります。排水管の耐熱温度は60~70度とされているため、流すお湯の温度にはご注意ください。
専用の道具や洗剤が無くてもできる簡単な方法なので、手間をかけたくない場合のにおい対策におすすめです。
台所の排水口から臭いにおいがする場合は、自分で掃除すれば改善できるケースもあります。ただし、原因によっては自分で対処できない可能性もあるので、掃除をしても解決できないときは業者への相談も検討しましょう。
業者に依頼すればプロの目線でにおいの原因を特定できるので、適切に処置できます。専門的な技術が必要な高圧洗浄による掃除も可能なので、排水管の奥につまっている汚れもきれいに除去できます。
においが気になる排水口周りは定期的なメンテナンスを心掛けて、快適に使い続けられるようにしましょう。
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