この項ではまず散水栓に関わる工事がDIYできる工事なのかを解説します。水道工事の中には無資格で行える工事と資格保有者でなければ行えない工事があります。無資格で行える工事でも決して簡単なわけではないので工事の可否やその違いについて知っておきましょう。
新たに散水栓や立水栓を設置する工事は基本的にDIYでの施工はできません。水道の新設工事を行う場合は給水管を延長したり、設置したりする必要があり、これらの工事には専門の資格が必要です。これは自身で施工を行った場合に大きな被害となることがあるため、水道法によって禁止されているためです。
給水装置に関わる工事では国家資格である給水装置工事主任技術者の資格が必要で、資格保有者の在籍や工事に必要な道具を所有していることによって各地域の水道事業者から認可を受けた水道局指定工事店のみが行える工事です。そのためパッキン交換のような軽微な変更以外の工事はDIYしないようにしましょう。
散水栓の新設工事は難易度も高く、万が一施工不備があれば重大な事故を招くおそれがあるため、専門業者に依頼をして正しく工事をするようにしましょう。
一方ですでに設置されている散水栓の蛇口を交換する、補修を行うような工事であれば水道局指定工事店でなくても行えます。
たとえば蛇口から水漏れが確認できる際には原因がパッキンの劣化であればパッキンの交換によって解決が可能で、水道局指定工事店以外の水道業者やDIYで修理することも可能です。特にパッキンの交換で済む場合はモンキーレンチと蛇口に合ったパッキンの用意さえできれば工事自体は難しくないので自身で修理しても問題ありません。当然水道業者に依頼したほうが早く確実に解決でき、費用自体も高くはないので水道業者に依頼をするのも一つの手です。
水栓交換もDIYでできる工事として挙げられます。パッキン交換よりも工程や道具が多くなるためより難しい工事ではありますが、こちらも正しい道具を準備し、手順を把握していれば行えない工事ではありません。工事手順は下で詳しく解説しているのでDIYを考えている方は参考にしてください。
同じ水道工事であってもDIYできる工事とできない工事があることを説明しましたが、ここではその違いについて紹介します。
DIYできる工事は水道に精通していない方でも比較的簡単に行える内容で、リスクが低い工事が挙げられます。たとえば上で挙げたようなパッキンの交換や浴室にあるシャワーヘッドの交換のように用意しやすい工具と取扱説明書があれば行える内容です。施工ミスがあった場合も水漏れが悪化することはありますが元栓を閉めれば被害を止めることができ、建物や周辺の家への影響はありません。
一方でDIYできない工事は給水管の延長や切回し、水道メーターの移設のように専門的な道具が必要で、リスクの高い工事です。これらの工事には専門的な道具が必要で、その扱いも容易ではありません。当然施工ミスがあれば影響も大きく、建物や土地にダメージを与えることもあります。周辺地域への被害も大きくなるため工事に必要な資格として法律で定められています。
ここでDIYできる工事として挙げた工事はあくまでDIYをしても良い工事であり、DIYが推奨される工事ではないため注意が必要です。実際に行う際には自分が正しい工事を行えるのかどうか、手間や費用を考えてDIYと業者依頼のどちらがメリットが大きいかを考えて行うようにしてください。工事の途中でも難しい、不安だと感じた際には中断して業者に任せることも視野に入れて作業をするようにしましょう。
散水栓が古くなり交換を考えている、水漏れが気になり新しいものへ交換をしたいという場合には蛇口を交換して対応できます。本項では散水栓の蛇口交換工事の手順を解説しますのでDIYをする際の参考にしてください。
蛇口交換をする際にはまず水を止めて作業をする必要があります。散水栓の場合は止水栓がないので家の元栓を閉め、水が出ないことを確認してから作業をしましょう。
家の元栓は敷地内の地面に設置されており、水道メーターの近くに置かれます。保護用のふたを開け、元栓を確認したらバルブを時計回りに回して閉めてください。家によってはレバータイプの元栓もあり、この場合はハンドルを給水管と垂直になるように回すことで閉めることができます。元栓が閉まっている間は家で水道が使えなくなります。作業をする際には水を使わない時間を選び、余裕を持って時間を確保しておくようにしましょう。
元栓を閉めた後は散水栓の水抜きを行います。元栓を閉めることで新たに水は供給されなくなりますが、元栓から蛇口までの給水管には水がまだ残っており、この状態で水栓部品を取り外すと水が噴き出す可能性があります。万が一元栓が閉まっていなければ大惨事になるので、蛇口を取り外す前に水を抜き、水が完全に止まっているかどうかの確認を行います。
水を抜く方法は簡単で、蛇口を開いて残っている水が止まるのを待つだけで完了します。しばらくしても水が止まっていない場合は元栓を確認してしっかりと閉め、蛇口を開いても水が出なくなるようにしてください。
水が止まったことを確認したら蛇口を取り外します。蛇口は反時計回りに回すことで緩み、取り外す事ができます。散水栓は屋外水栓のため固くなっていることもあるのでうまく回せないときには力任せに回すのではなくモンキーレンチなどの工具を使って安全に取り外します。
蛇口が一度緩めばそのまま手で回すことができるので給水管を傷つけないように気をつけながら既存の蛇口を取り外してください。
蛇口を取り外したら給水管についている汚れや錆び、シールテープの残骸を取り除いておきましょう。掃除する際には使い古した歯ブラシやタオルを使って作業をします。
続いて新しく取り付ける蛇口を準備します。水漏れを防ぐために蛇口にはシールテープを巻き付けてから設置をします。シールテープは蛇口のネジ部分に7周ほど巻きます。先端のネジ山は1~2周分巻かずにおくのがポイントで、シールテープを巻いたら指でなぞりよくなじませておきましょう。
蛇口の準備が整ったら給水管に取り付けます。ネジを差し込み、時計回りに回していきます。最後までしっかりと締まるようにモンキーレンチでしっかり締めたら工事は完了です。蛇口の位置が合わずに逆回しをした場合、シールテープが切れやすくなってしまうのでそのままにせず最初からやり直すようにしてください。
蛇口を取り付けた後は元栓を開けて正しく使用できるかを確認します。作業前に閉めた元栓は急激に水圧がかからないようにゆっくりと開くようにし、全開にします。その後蛇口を開けて水が正常に出ているか、接続した箇所から水漏れが起きていないかを確認します。異常がなければ作業は完了です。
万が一接続箇所から水が漏れている場合は元栓を閉めて一連の工程を再度行います。原因がわからない場合は水道業者に相談するなどそのまま使用することのないようにしてください。
散水栓はコストが低く、ガーデニングなど散水目的のみの場合には問題なく使用できる水栓ですが、手洗いや物を洗うような作業には適していません。また、屈んで使用することのないように立水栓に交換をしたいと考える方も多く、散水栓から立水栓への交換工事もよく行われます。
設置状況や地面の状態によってはDIYできるケースもあり、この項では散水栓から立水栓への交換工事の手順を解説します。
散水栓から立水栓へ交換する工事でも同様に水を止めて作業する必要があるため、水道の元栓を閉めてから作業をします。
元栓は敷地内の地面に設置されているのでふたを開け、中のバルブを時計回りに回して閉めてください。最近ではレバータイプの元栓も増えており、この場合は給水管と垂直になるようにレバーハンドルを回します。
元栓を閉めた後は一度蛇口を開けて水が止まっているかを確認します。同時に給水管に残っている水を抜き切ることで安全に作業を行えます。
止水が完了したら既存の散水栓と散水ボックスを取り外します。散水ボックスは地面に埋まっているため周囲の土や砂利を掘って撤去する必要があります。仮にコンクリートで固められている場合はコンクリートカッターやドリルなどを使って斫る必要があり、DIYでは困難です。散水ボックスを掘り起こすときには給水管を傷つけないように作業をしてください。
散水ボックスを取り外したら立水栓を取り付けます。立水栓へ交換する前にさらに深く堀り、給水管を露出させてください。立水栓を離れた位置に設置するという場合は継ぎ手を使って給水管を延長し、設置予定の位置まで伸ばします。
給水管は水栓よりも低い位置に通っており、蛇口の取り外しを考えるとさらに深く掘る必要があります。同様に給水管自体を傷つけることのないように慎重に作業を行ってください。
給水管を露出させたら給水管に立水栓を接続します。立水栓に接続できるように給水管の向きを変えるための継手を取り付けてから接続をします。継手を取り付ける際には配管用の接着剤を使用します。配管の加工が必要な場合はパイプカッターを使用して適切な長さに切断して取り付けてください。接着剤を使って配管を延長した場合は正しい位置に配管を固定し、乾燥させてから立水栓を接続するようにしてください。
給水管の引き回しが完了したら立水栓を接続します。立水栓が垂直になるように給水管と接続し、固定します。立水栓の柱を立てたあとで蛇口を取り付けます。蛇口を取りつける際には蛇口側のネジ山にシールテープを巻き付けることで水漏れを防ぎます。シールテープは7周を目安に伸ばしながら巻き、手でなじませてから取り付けをします。このとき先端部分はシールを巻かずに置くことでしっかりと取り付けが行えます。
シールテープを巻いた蛇口を給水管側に差し込み、時計回りに回して取り付けます。後半はモンキーレンチを使ってしっかりと締めるようにし、蛇口が正しい向きになるように取り付けます。位置を調整するために反時計回りに回すとシールテープに穴が空き、水漏れの原因となります。その場合はシールテープの巻き直しからやり直してください。
立水栓の場合は散水栓と異なりその場で水を使用することが多いので必要に応じて水受けとなるガーデンパンを設置するのが良いでしょう。周囲の土を戻して均し、ガーデンパンを設置してください。
ガーデンパンを設置する場合は排水設備を整える必要があり、排水管への接続や側溝へ水が流れるように配管をつなぐなどの工夫が必要です。
立水栓を設置する際には排水設備を用意することが望ましいと書きましたが、地域によっては排水設備が必須とされている地域もあります。散水栓のときには基本的に排水設備が用意されていないため接続を行ってください。
下水道への接続はDIYで行える工事ではないので水道業者に相談をして行ってもらうようにしてください。
設置が完了したら水漏れをしていないかの確認を行います。作業前に閉めた水道の元栓を開栓し、正しく機能をするかチェックしてください。接続部分からの水漏れは起きていないか、蛇口の開閉で水の制御ができているかを確認し、問題なければ工事は完了です。
ここまで散水栓の蛇口交換や立水栓への交換工事の方法を解説しました。手順を見て自分でも施工できると感じた方もいれば、難しいから業者に依頼しようと感じた方もいるでしょう。最後に業者に依頼をした場合にどれくらいの費用で工事ができるかを紹介しますので参考にしてください。
まずは散水栓を設置する場合の費用を紹介します。散水栓を設置する場合は2万円~5万円ほどをみておくとよいでしょう。散水栓の設置工事は大きく商品代、施工費に分けることができ、商品代はメーカーや品番によって異なります。散水栓はデザイン性が高くないためあまり大きな差はなく、1万円以下で購入できます。
施工費は給水管を引き回す長さによって異なります。既存の給水管から数mほどの距離であれば施工にかかる時間は大きく変わらないため安価に済みますが、庭の中央へ設置をする、コンクリートで作られた駐車場に設置をするといったように工程が増える場合は費用相場を超えて費用がかかることもあります。業者に依頼をする際には見積もりをしてもらい、工事計画と合わせて相談をすることが望ましいです。
散水栓の移設を行う場合、費用の相場としては5万円以上をみておきましょう。前述通り、移動する距離や地面の材質によって異なるため細かく見積もりをしてもらうようにしてください。
屋外水栓の給水管は基本的に地面に埋設して引き回します。水漏れが起きていた場合、蛇口からの水漏れとは違ってなかなか気付きづらく、大きな被害になってしまうことも少なくありません。依頼をする際には費用ももちろんですが、施工実績や担当者の対応、アフターフォローといった金額以外の側面も考慮して信頼できる業者に依頼してください。
散水栓の工事は新設や移設、増設、立水栓への交換などさまざまな工事が想定されます。一部の工事は道具と知識があればDIYで行うことも可能で、自分で工事をすることで費用を抑えることも狙えます。
一方で水道業者でなければ困難な工事や水道局から認可を受けている業者でなければできない工事もあります。業者に依頼をすることで水の使えない時間が短縮でき、確実に施工ができるというメリットもありますので費用だけでなくさまざまな面で検討してみてください。
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