バルブ(valve)は英語で、「弁」という意味です。弁とは、流体や気体を遮断したり、流量を調整したりするために開閉する装置のことです。身近なものに、水道の蛇口があります。蛇口を開けば水が流れ、水量を減らしたい場合は蛇口を絞り、大量に水を出したい場合は蛇口を全開にします。蛇口を閉めれば、水は止まります。
ガス栓も、ガスを出したり止めたりするバルブの一種です。バルブのうち、水の流れを制御するものを「給水バルブ」と呼びます。ただし、一般的に水道の蛇口を給水栓、住居全体の水の制御をするバルブを元栓と呼び、他にも止水栓や分水栓といったものがあります。ここでは、家庭の水道で使われるバルブである給水バルブや止水栓、元栓について解説します。
日常的に使用する水道の蛇口とは別に、必要に応じて元栓や止水栓などの給水バルブを操作しなければならないことがあります。緊急を要する場合もあるため、まずはそれぞれの働きや、どのような場合に操作する必要があるのかを解説します。
「キッチンの水道の蛇口が閉まらなくなった」「勢いよく水が噴き出した」「トイレの水が流れっぱなし」といった緊急事態では、元栓を閉めることが応急処置になります。
元栓を閉めれば、蛇口や器具では止められない水漏れを手っ取り早く大元で止められます。大量の水漏れや、床の浸水や階下への漏水など、深刻な水漏れが起きた場合の応急処置として有効です。
ただし、元栓を閉めると自宅の水道が完全に止まるため、一切水を使うことができなくなります。そのままではトイレも使えず、手も洗えないため困ってしまうでしょう。長時間水道を止めていると生活に支障をきたすため、早めに対処しなければなりません。
水道の蛇口は消耗品であり、耐久年数は10年程度です。蛇口が老朽化すると、先から水がポタポタ落ちたり、接合部から水が漏れたりします。内部のコマパッキンを変えるだけで直ることもありますが、蛇口自体の交換が必要になることもあります。
水道の蛇口の修理・交換を行う際は水が出ては困るため、一時的に水道を止める必要があります。その際は元栓、あるいは蛇口の手前にある給水バルブを閉めます。
長い間水道を使う予定がない場合、例えば長期にわたって家を空ける場合や空き家になる場合は、住戸別に設置されている止水栓を閉めましょう。止水栓を開けたままにしておくと、蛇口から水が漏れたり、給水管が破損して水が流れっぱなしになったりしても対処できません。
高額の水道料金が請求されて、初めて水のトラブルに気付くということのないように、長期間水道を使わない場合は、必ず止水栓を閉めましょう。止水栓を閉めておけば、上記のようなトラブルを防げます。
寒い地方で特に気を付けたいのは、水道管の凍結です。気温が氷点下になると水道管が凍結し、破裂しやすくなります。水道管の中の水が凍ると体積が増えるため、水道管に圧力がかかって亀裂が入ったり、破裂したりします。凍結に強い材質の水道管でも、中の水が凍ると溶けるまで水道が使えません。
長く人が住んでいない家で水道管が凍結して破裂した場合、暖かくなって水道管の中の氷が解けて水が噴き出しても気付かないでしょう。無駄な水道料金を支払わないためにも、水道管の凍結を防ぐ対策を行うことをおすすめします。
各住戸に水道を供給している止水栓(メーターボックス内にある元栓)を閉めてから、宅内の蛇口を開きます。水道管の中に残っている水を流して空の状態にすれば、水が凍ることもありません。水を流し切ったら、蛇口を閉めます。
下記の記事でもし漏水が起こった際の確認事項や減免申請の流れについて解説していますので是非こちらの記事も参考にしてみてください。
水道の蛇口を全開にしたのに水の勢いが弱い、水量が足りない、もしくは水の勢いが強すぎるといった場合は、給水バルブで水の勢いを調節できます。「トイレタンク上部の手洗い用の吐水口から出る水の勢いが強すぎるが、水洗レバーと連動して自動で水が流れる仕組みになっているため、どうしようもない」と困っている人もいるのではないでしょうか。
そのような場合は、トイレの給水バルブを調節することで、水の勢いを調節することができます。
給水バルブや元栓、止水栓は、各家庭に各1個とは限りません。水道の蛇口のように外から見える場所にはないものが多いため、普段はなかなか目にする機会がないでしょう。それらがどこにあるか、一般的なケースについて解説します。
一戸建ての場合は、住宅別に専用の元栓があります。元栓は、敷地内の地中にある水道のメーターボックスの中にあります。地面をよく見ると四角の青いプラスチック、あるいは金属製のフタがあります。
見当たらない場合は土や枯れ葉などで覆われている可能性があるので、注意深く探しましょう。フタには「止水栓」「量水器」「水道メーター」などと書かれています。フタを開けると、水道料金を算出するための使用水量のメーターと水道の元栓があるはずです。
元栓のツマミを時計回りに回すと閉まり、反時計回りに回すと開いて、水が使えるようになります。賃貸の戸建てに引っ越してきた時は、水を使えるようにするため元栓を回して開栓する必要があります。
マンションの場合は、各住戸の玄関のそばに扉付きの「パイプスペース」あるいは「パイプシャフト」と呼ばれるスペースがあります。扉の中には上下水道管やガス管が通っていて、住戸別に水道やガスのメーターが格納されています。
マンションの間取り図に「PS」や「MB(メーターボックス)」と書かれているので、すぐにわかるでしょう。そこに、各住戸の水道の元栓があります。団地などの集合住宅でも、住戸別に同様の設備があります。
アパートは井戸水の場合もあるため一概にはいえませんが、水道水の場合は一戸建てと同じように、敷地内の地面に水道メーターと元栓が埋設されているケースが多いです。また、部屋の前などに埋設されている場合や、敷地内の片隅に設置されている場合もあります。
部屋別に水道メーターがある場合は、そこに元栓があります。賃貸物件に入居する際に水道開栓の手続きをすると、水道局から部屋番号に対応する水道の元栓を開栓するよう指示されます。
元栓の場所がわからない場合は水道局に確認することもできますが、管理会社や大家さんに聞いてもよいでしょう。アパート全体の元栓がある場合は、誤って閉めるとすべての部屋の水が止まってしまうため、気を付けてください。
水道メーターボックス内にある給水バルブ(止水栓、元栓)では、住居全体の水道を出したり止めたりすることができます。一方で住居全体ではなくキッチンだけ、浴室だけ、トイレだけといったように、部分的に水を制御できる給水バルブもあります。
給水バルブは大元の元栓と水道・洗面所の蛇口の間にあり、末端に近い場所にあるケースが多いです。給水バルブは、大元の元栓よりも狭い範囲で水を制御できます。
洗面所の蛇口を交換する場合や、キッチンに食洗機を設置する場合など、部分的に水を止めたい時に給水バルブを閉めます。キッチンや洗面所の給水バルブは、一般的にシンク下や洗面ボウル下の収納キャビネットの中にあります。ただし、キャビネット内でむき出しになっておらず、収納スペースの奥に格納されていることもあります。
トイレの給水バルブは、壁や床から伸びている給水管の接合部にあるケースが多いのですが、壁の扉の中やパネル内に隠れているケースもあります。給湯器や食洗機などの給水バルブは、一般的に本体から出ている給水管の根元付近の接続部分にあります。
給水バルブ、元栓、止水栓はそれぞれが異なるため、どのように開閉するのかわからないかもしれません。ここでは、それぞれの栓の正しい開け方・閉め方を解説します。
円形のハンドルタイプの給水バルブは、時計回りに回すと閉まります。直線的なつまみがついたものも、時計回りに回すと水が止まります。よくある蛇口状のハンドルならそのまま回せますが、ハンドルがなく直線の溝がある栓は、マイナスドライバーや硬貨を差し込んで回しましょう。
必要以上に締めすぎないように、自然に止まるところまで回します。水が完全に止まったかどうかを確認したい場合は、パイロットや蛇口で確かめましょう。
給水バルブを完全に閉めても水が止まらない場合は、給水バルブの故障や劣化が考えられます。また、給水バルブを閉めたのにパイロットが回っている場合は、どこかで水が漏れている可能性があるので。速やかに専門業者に依頼してください。
給水バルブ、元栓、止水栓は、閉めた時と逆方向に回すと開きます。つまり、反時計回りに回すと水が出ます。給水バルブを開きすぎると水の勢いが強くなるため、注意しましょう。バルブや栓を閉める時に回した回数を覚えておくと、開く時に元どおりにできます。
給水バルブを控えめに開けてから蛇口などで水の勢いを確かめて、ちょうどよい水勢になるように調整するのもよいでしょう。給水バルブを完全に開いても水の勢いが弱い場合は、給水バルブが故障している可能性があるので、業者に連絡して相談しましょう。
水回りの栓について、日常的に使う機会も少なければどこにあるのかも意外と分からないものです。しかしいざトラブルが発生した時のために把握しておけば、緊急時に慌てずに済みます。
水が止まらなくなって困った時は、応急処置として給水バルブを閉めると水が止まります。家中の水を止めたい場合は水道メーター横の止水栓を止めるのが手っ取り早いのですが、キッチンだけ、トイレだけなど部分的に水を止めたい場合は、それぞれの給水バルブを閉めれば水が止まります。
その方法なら、他の場所でも水を使うことができます。これらの対策を知っておけば、水回りのトラブルが起きても慌てることなく対処できるでしょう。
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